問題:
完全矯正された近視の人が角膜から15mmに−10Dの眼鏡レンズをかけています。矯正コンタクトレンズで必要な量と比較して彼の眼鏡レンズではどれくらいの調節が必要なのでしょうか?
答え:
矯正レンズが−10Dであれば遠点はレンズから10cmということです。角膜に置かれた適切な矯正コンタクトレンズは(10cm+1.5cm)、つまり11.5cm の焦点距離になり、そのジオプター度数の等価は−8.7Dです。
私たちに求められているものは、眼鏡レンズ面から20cmに置かれている物体の最終的な像が2つの“矯正”レンズである−10Dと−8.7Dの各々によって、どこに映されるかということです。
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眼鏡の矯正では:
U1+P1=V1
−5−10=V1=−15D
v1=−6.67cm
v1+15mm=u2=8.17cm
ゆえに、目に関する限り8.17cm離れたところの像に調節しなければなりません。だから、目に提示される最終的な像は−12.25Dの光の広がり(vergence)になります。
コンタクトレンズの矯正では:
物体からコンタクトレンズの距離がu1です。
u1=20+1.5=21.5cm
U1=−4.65D
U1+P1=V1
−4.65−8.7=V1
−13.35=V1
ゆえに、目に提示される最終的な像は−13.35Dの光の広がり(vergence)になります。
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両方の例では目は8.7Dの近視(角膜に言及すると)ですから、最初の8.7Dの範囲まで調節する責任から解放されます。だから、−10Dの矯正レンズではこの目は眼鏡面から20cmに置かれた物体を見るために(12.25−8.7)、つまり3.55Dの調節をしなければなりません。ところがコンタクトレンズで矯正された目は(13.35−8.7)、つまり4.65Dの調節をしなければなりません―つまり1.10Dも多いのです!
(この例から私たちはコンタクトレンズ矯正の近視の人は正視の人と同じ調節量を働かさなければならないと仮定することに注意して下さい。しかし、コンタクトレンズでさえ近視の人はいくらか少なく働かさなければならない可能性があるでしょう。この相違は私たちの模型眼において、近視眼の屈折異常が実際に“存在する” 角膜の後ろの距離を無視したからです。その時この過度な簡略化が原因でコンタクトレンズ矯正は正視眼と等価であると分かるのです。)
あなたは患者の主観的な屈折に対する最終的な接触を遂行しようとしています。もしあたなが彼の完全矯正に達したあとまだどんどん進んでマイナスレンズを加え続けるなら、患者は視標が小さくなっていくように見えるとあなたに訴えるでしょう。なぜ?
あなたが加えた余計なマイナスの屈折力が患者の調節を刺激するのです。その調節の増加は彼の目に“組み込まれた”プラス屈折力の増加とみなされます。これら2つのジオプター度数(外がマイナス、内がプラス)は視力を鮮明なままにしようとするなら、お互い正確に“中和”しなければなりません。だから、私たちは既存の頂間距離(目の中に組み込まれたプラスの場所までのいくらかの距離もさらに加えます)で分離された2つの要素によって付加的に“中和された”、つまり無焦点の望遠鏡システムを作ったのです。ここでは“組み込まれた”レンズ(それは望遠鏡の“接眼レンズ”に相当します)はプラスですから、このガリレイシステムはこの目にとっては縮小システムとなります。
だから、目の前に余計なマイナスを置くことは患者に小さな逆方向望遠鏡(reverse
telescope)を通して凝視するようにさせるのです。マイナスの過矯正が大きくなると、視標を鮮明に保つために必要な調節も大きくなり、ゆえに望遠鏡の縮小効果も大きくなります。