江若風力発電
- 風力発電所の風車ブレードから投射される個体の最大到達距離の計算
個体:ブレードに着氷した氷塊及び衝突した鳥類
山頂に設置された風力発電所の風車ブレードから45度上方に投射された個体が標高0mの地点に空気抵抗がないと仮定した場合に到達する最大距離を計算する
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山頂に設置された風力発電所の風車ブレードから個体を45度上方に投射
- 三十三間山における計算例
1) 資源エネルギー庁のホームページ内に掲載されている「風力発電施設における騒音及び超低周波音について」日本大学 町田信夫著(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/yojo_furyoku/dl/kyougi/akita_yuri/02_docs07.pdf)より風車のデータ例を抽出し試算すると、
| 1.5MW機 | アップウィンドウ型 |
| ロータ径:70.5m | タワー高さ:65m |
| 全高:約100m | 誘導発電機(増速機あり) |
| 回転数:12-22.2rpm | 翼端速度:82m/s(max) |
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入力データ:
| 回転数:22.2rpm | ブレードの半径:35.3m |
| 山の標高:842m | タワー高さ:65m |
結果:
| 翼端速度:82m/s | 翼端速度:295km/h |
| 最大到達距離:1476m |
2) 三十三間山に最初に計画された風力発電の概要データ
| 定格出力:6100kW | ブレード枚数:3枚 |
| ローター直径:約158m | ハブ高さ:約101m |
| 最大高さ:約180m |
入力データ1:
| 回転数:12rpm | ブレード半径:79m |
| 三十三間山の標高:842m | タワー高さ:101m |
結果1:
| 翼端速度:99m/s | 翼端速度:357km/h |
最大到達距離:1998m |
入力データ2:
| 回転数:22rpm | ブレード半径:79m |
| 三十三間山の標高:842m | タワー高さ:101m |
結果2
| 翼端速度:182m/s | 翼端速度:655km/h |
| 最大到達距離:5200m |
3)修正された計画案
・「三十三間山風力発電」から「江若風力発電」に名称変更、高さ180mから169mに変更(中日新聞より)
・出力6100kwから4000kwに変更(2025年11月7日(金)わかさ東商工会本所における江若風力環境アセスメント中間説明会でのJWE社長中渡秀廣氏による口頭発表より)
ブレード半径は出力比の平方根に比例することから修正後のブレード半径は64m、タワーの高さが全体の高さに比例して変化すると仮定した95mを入力データにすると
入力データ1:
| 回転数:12rpm | ブレード半径:64m |
| 三十三間山の標高:842m | タワー高さ:95m |
結果1
| 翼端速度:80m/s | 翼端速度:289km/h |
| 最大到達距離:1465m |
入力データ2:
| 回転数:22rpm | ブレード半径:64m |
| 三十三間山の標高:842m | タワー高さ:95m |
結果2
| 翼端速度:147m/s | 翼端速度:530km/h |
| 最大到達距離:3694m |
Reference:
- Hamid Sarlak and Jens N Sφrensen. Analysis of throw distances of detached objects from horizontal-axis wind turbines, Wind Energy, 2015.
- Seifert H, Westerhellweg A. Kroning J.Risk analysis of ice-throw from wind tubines, Proceeidngs BOREAS 6, Pyha, Finland, 2003;1-9.
- Biswas S, Taylor P, Salmon J. A model of ice-throw trajectories from wind turbines. Journal of Wind Energy 2012; 15(7): 889-901.
- Yanco Delta Wind Farm. Technical Report - Blade Throw Assessment, Australia, 2022.
- Thomas Hahm and Nicole Stoffels. Ice Throw Hazard Experiences and Recent Developments in Germany, F2E Fluid & Energy Engineering GmbH & Co.KG.
- Lcroix A, James MF. Wind energy: Cold weather issues. Renewable Energy Research Laboratory, University of Massachusetts at Amherst, 2000.
- Morgan C, Bossanyi E, Seifert H. Assessment of safety risks arising from wind turbine icing, Proc BOREAS IV, Hetta, Finland, 1998; 113-121. Finnish Meteorological Instritute, Also see EWEC’97, Proceedings of the International Conference, Dublin Ireland, October 1997. P. 141-144.
- Cattin R, Kunz S, Heimo A, Russi G, RussiM, Tiefgraber M. Wid turbine ice throw studies in the Swiss Alps, paper presented at EWEC 2007, 2007.
- 風車が施工された場合の若狭町からのおおよその見え方

三十三間山を正面にした若狭町側からの眺望

三十三間山を中心にした観察点からの視角
環境配慮書における眺望点の選定には、公的なHPや観光パンフレット等に掲載されている情報であり、不特定かつ多数の利用がある地点または眺望利用の可能性のある地点が選定され、その結果@赤坂山、A大谷山、B三十三間山、C道の駅 三方五湖が選定され可視領域として予測されていて、若狭町の居住地域は含まれていない。実際には三十三間山と轆轤山は観光として眺望することはほとんどなく、住民が日常的に目にするものである。
- 若狭町における上水道と風力発電所建設の関係
上水道に天増川の表流水を利用している地域を若狭町の資料より抜粋

天増川の表流水を飲料水にしている地域

天増川の表流水の取水位置の状態

ジャパンウインドエンジニアリングの水質調査地点の見解
参考資料:資料2−1−2(公開版)令和6年3月18日 風力部会資料(仮称)三十三間山風力発電事業 環境影響評価 方法書 補足説明資料(令和6年1月 株式会社ジャパンウィンドエンジニアリング)
- 超低周波音に関して
- 2025年11月7日(金)わかさ東商工会本所における江若風力環境アセスメント中間説明会で日本気象協会の鍋島氏より、「平成22-24年度環境省戦略指定研究領域研究課題(S2-11風力発電等による人への影響評価に関する研究」に記述されている以下のグラフをもとに人体への影響はないとの説明があった。

上記のグラフは以下に示されている風力発電施設周辺地域36箇所のうち、風車騒音が測定できた29の風力発電施設周辺の31地域の合計164地点におけるデータの集計で、定格出力が400kwから2400kw、風車の設置数は1基から24基となっている。三十三間山の当初の6100kwおよび修正後の4000kwよりもはるかに小さく、17基以上設置しているのは4個所のみであった。


- 17基からでる超低周波の音圧レベルを考察
ー風車の回転数から発生する低周波を推測し、17基から発せられる音圧レベルを計算ー
3枚羽が1分間に20回転する状態を1枚の羽根の回転数に換算すると

20×3 = 60
となり、1分間に1枚の羽根が60回転するのと同等になる。
次に、1秒間の回転数に換算すると
60/60=1
つまり、1秒間に1回転し、1Hzの空気振動を起こすことができる。
測定結果のグラフから1Hzの低周波の音圧レベルの最低の数値を50dBとし、17基が同じ方向を向いて17倍の音圧を生じると仮定したときの音圧レベルを計算する。
1基の音圧を求めると

17基が同じ方向に向いているとして1基の音圧を17倍すると

音圧レベルを求めると

1Hzは耳には聞こえないが、音圧レベルは大きな騒音と同じレベルになる。
- 地形的特徴と風向・音圧
- "福井県緑のデータバンクすぐれた自然データベース"より抜粋
- 風の向き
今津地域気象観測所における1991〜2020年の30年間の最多風向(気象庁のホームページより)
西北西からの風が年間を通して吹いていることから、風車はいつも西北西の若狭町側を向いていて、並列に同位相の音波を発生すると考えられる。
- 音圧の方向(google mapより)

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