第1節 偏光

光の波動性の特性の1つに偏光があります。

石が水たまりに落とされた時、波はいろんな半径に沿った方向で円を描いて外側へ常に広がっていくように見えます。しかし、波の動き自身は上下しているので、波の通り道にあるコルクは1つの面でただ浮いたり沈んだりしているだけでしょう。他方光線の波の動きは1つの面だけではありません。進行(伝播)方向の線を含んでいる(図3)波の動きはすべての面で起きると考えられ、偏光されていないと言われます。もし波の動きがある理由か他の理由で1つの面でのみ存在するなら、光はその時直線(もしくは平面)偏光されます。


 


3.非偏光光線:上に示された1つの平面にある波の動きは実は伝播方向を含んでいる全ての平面に存在しています。

 

 もし偏光された光が紙を切る能力を与えられたら、平面偏光された光は紙を横切る時薄い直線の裂け目を切り取るでしょう。なお他のタイプの偏光は楕円や円形の穴を紙に開けるかもしれません。後者のこれら2つのタイプの偏光はここでは論じられないでしょうが、それらはとても魅惑的です。実は、円偏光は平面偏光と同じように商業的な重要性があります。

 この次の段落では私たちは直線偏光とそれが産出されるいくつかの方法だけを扱うでしょう。

1. 二重屈折(複屈折)。石英や方解石のように自然に発生した特定の結晶は非偏光を2つの別個の光線に分ける特性を持っていて、それぞれの光線は強度が等しく平面偏光であり、2つの偏光は90°離れています。最も実用的な目的では2つの偏光光線のうちの1つはニコルプリズム(Nicol Prism)のように消されて、とても効果的な直線偏光子になります。

2. 反射非偏光が平らで滑らかな面にある角度で当たった時、反射光線は部分的か完全に直線偏光されるでしょう。偏光度(degree of polarization)は入射角と反射面の屈折率によります。偏光度が完全である入射角は偏光角(もしくはブリュースター角(Brewsters Angle))として定義されます。いろいろな面からたくさんの眩しい光を産出する反射は確かに偏光されていて、それはやっかいな偏光された反射を相殺して効果的に消去させるPolaroid[1]フィルターを適切に導入することにより削除される事実をあなたはよく知っておくべきです。
 3. 散乱
。粒子成分となる、埃の粒子、もしくはガスの分子、もしくは結晶の原子でさえ光の散乱によって偏光を産出できます。散乱による偏光を産出する一番良い例は青空の光です。さらに徹底した散乱についての議論はあとで短く触れます。

 4. 二色性。市場で入手可能な人工的に製造した偏光子の大多数はPolaroid板のように二色性があります。二色性は入射光の偏光の形に左右される程度によって選択的に光を吸収するための材料の特性です。これらの偏光子は入射光線の最高な伝導が起こるような軸を持っていて、それを偏光軸と言います。もし非偏光入射光がそのような二色性の偏光プリズムに降りかかったら、偏光(伝導)軸に対して斜めになった面における光の振動は選択的に吸収され、そして伝導軸に沿って振動する光だけが伝導されます。Polaroid二色板による偏光の産出では約40パーセントの入射光が吸収され、その結果産出の方法としては“反射”と比較してかなり大きな光の損失があります。

もし、Polaroid板の2枚目の板(“検光子”と呼ばれます)がその伝道軸を最初の板(“偏光子”)の伝導軸に垂直にして位置付けられれば、最初の板を通って伝導した平面偏光は吸収され通過できないでしょう―事実上それはろ過されるでしょう。この偏光の原理は上記のような望まない反射を削除するために使われ、商業的にはガラスやプラスチックの物理的なひずみを分析するのにも使われます。
 偏光は私たちの視覚に関する学習の中で“ハイジンガーブラシ(Haidinger brush)”内視現象を説明するために役に立ちます



[1] Polaroid Corp.の登録商標です。