第1節 横倍率(Linear Magnification)

 横倍率は対応する物体に比例した像の大きさだけに関係があります―目に像がどれだけ大きく見えるのかではなく、像がどれくらい大きいのかということです。レンズシステムによって形作られた像は元の物体と比較して大きいかも、小さいかも、あるいは同じ大きさかもしれませんし、正立像もしくは倒立像かもしれません。私たちが物体と像の実際の大きさ(メートル、インチ、ミクロン)の間の関係だけを扱っている限り、横倍率(Linear Maginification)がぴったりの学術用語です。

 もし私たちが横倍率は×と分かっているなら、像は物体の半分の長さであり、半分の幅であることが分かります(光学システムの軸に垂直な面を基準にした測定です)。


 

 


 しかし、横倍率無限遠にある物体を扱う時は何の意味もありません。横倍率=ですから、もし物体距離が無限遠であれば横倍率はゼロにならなくてはなりません。像の距離が無限遠の時(物体がプラス単レンズの焦面に置かれた時のように)、実際の物体の大きさは問題ではなく、像の大きさ(それが無限遠に置かれているので)は無限大に違いなく、ゆえに横倍率も無限大になります。これら両方の例では学術用語である線的(linear)(lateral)と同様に横軸(transverse)とも呼ばれます)倍率は役には立ちません。

 光学と眼科学では絶対的な大きさではなく、見かけの大きさ、つまり目に物体や像がどれくらいの大きさで見えるかを扱う方法が必要なのです。角の大きさと角倍率はこの手段を私たちに与えてくれます。