第2節 目に見える大きさ

 省略眼の前焦点は“角膜”から17mmです。角膜面の中心にある軸上点からシステムの2焦点(F)(それは網膜上にあるはずです)までの距離はnf、つまり1.33×17、つまり22.5mmとなります。目の節点NからFまでの距離もまた第1焦点距離fと等しくなります(前図を見て下さい)。これはどんな光学システムでもそうです。ここではそれが17mmで、その特別な距離をしっかり脳裏に焼き付けて下さい。

 Nに向かう全ての光線は角膜で曲げられることなく通り抜けるので、Nは目においては物体に対応した網膜像の角度の頂点だけでなく、物体に向かい合う全ての角度(物体角(angular object sizeと呼ばれる)の頂点も形成します。ゆえに、NからFまでの距離が17mmであることを知れば、目で向き合う物体の実際の大きさと角度を決定できます―その物体というのはタンジェントスクリーン上の視標、特定のスネレン視標、もしくは網膜上にある1mmの病変でさえあるのです。

 

 いくつかの例はこの点を指摘するでしょう:

 

問題:

 視神経乳頭(直径1.5mm)の角度の大きさ(360度法)はどれだけですか?

 


 


答え:

 θ=0.088

 しかし、この答えは弧度法です。360度法に変換すると、思い出してください。

     1ラジアン=57.3°

 ゆえに 0.088ラジアン=0.088×57.35.0°

 だから、視神経乳頭は5.0°の角度に向かい合っており、タンジェントスクリーン上に同じ角度の対辺となる見えない範囲を投射します。もしそのスクリーンが角膜から1mだとすれば盲点の大きさは相似な三角形で比較可能な大きさの“比例関係”で単純に決定できます―(Nからタンジェントスクリーンまでの真の距離は10005.5ですが、5.51000に比較するととても小さいので差し支えなく無視できます):


 


       

          x88mm

ゆえに、1m先にあるタンジェントスクリーン上の盲点の大きさは直径約88mmとなります。

 

問題:

 a) もしスネレン試視力表を20フィートで使うのであれば全体の大きさをどれくらいにして20/200の文字を作ればいいのでしょうか?

 b) それに対応する網膜像の実際の大きさはどれだけでしょうか?

 

答え:

 まず最初に、どんなテスト視標の中でも弁別されるための構成要素が、たとえば視標“C”の“切れ目”のように、標準化されることをあなたは知らなければなりません。20/20視標の“切れ目”の角度の大きさは1分の円弧です。テスト視標の全体の大きさはいつも“切れ目”の角度の5倍になっています。だから、20/200視標は20/20視標の10倍の大きさとなり、ゆえに、20/200視標は角度が10の“切れ目”となり、全体の大きさは目の節点に向かい合う50にならなければなりません。

a)  

下図では、相似な三角形に私たちが知っていることが記されています:

       X=視標の高さ

       d20フィート=6000mm

      θ=50

 この問題を解くために円弧のθを分よりラジアンを使って表さなくてはなりません。

   

   1(私たちのほとんどにとって、それは10進法の変換係数を思い起こせません!)

   ゆえに     50分=

                  θ=0.0145ラジアン

   そこで    θ=

          

                     20/200の視標の本当の高さ

b)   y=網膜像の大きさ(上図を見てください)

   

 20/200視標の網膜像の大きさは0.246mm

 だから、もしあなたが17mmの数値を覚えているなら、この種の決定になんの困難もないはずです。