第4節 散乱

 回折と反射の両方に関係するもう1つの面白い現象は“散乱”と呼ばれます。あなたは光線が(進行方向に対して垂直に見る時)見えないという事実に精通しています―映写機からの光はスクリーンを照らしますが、映写機とスクリーンの間の空間は映写方向から光を散乱する粒子成分が空気中になければ真っ暗でしょう。粒子は光線束を“見える”ようにするのに役立ちます(たとえば、前部ぶどう膜炎をスリットランプで見た時に起こるよく知られた前房における“フレアとセル”の反応)。ここでは粒子は小さな鏡のように働きます。ゆえに、空気が煙の粒子や水の小滴(それらは光の波長の大きさと比較すると大きい)のような粒子成分で満たされている時、粒子は広く散った反射鏡のように働き、そしてほぼ等しく全ての波長を反射します。他方、もし粒子が微小で、そして大きさでは光の波長に匹敵すれば(地球大気中のガスの分子のように)、ほとんどの入射光線は通過しほんの少しの部分だけが反射されます。しかし、反射される量はスペクトルに沿った各々の波長と同じではありません。散乱された光の強度はλ4に反比例していて、ゆえに青色(もしくはもっと短い色)波長は赤色よりも大きく散乱され、そして晴れた空からの光は空気中のガス分子によって散乱された光で主に成り立っているので青色に見えます。私たちの大気の外にはそのような空気はなく、光を散乱し宇宙飛行士の目に光を反射し返すものはそこの外には何もないので、宇宙飛行士には“空”は真っ黒に見えるでしょう。

 地球上の観察者に戻ってみると、ちょうど記述した理由によって太陽が水平線に近付くに従ってもっともっと赤くなっていくように見えます。水平線では太陽光線は観察者の目に届くために地球大気中のもっと長い道筋を通過しなければなりません。ゆえに、短波長の光線はより大気中の分子に出会う可能性がありますので散乱されます。太陽の色は短波長をもっともっと失っていき、最初は黄色、それからオレンジ色、それから赤色[1]になります。

 



[1] 光の物理的性質に基礎を置く、分類された視覚現象の多くの素晴らしい説明はMinnaert著の素晴らしい本、The Nature of Light and Color, Dover, New York, 1954で見つけられます。